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私は、たまたま、インターネットで 知った、 J.V.U.Nの代表 佐藤きみよさんのストレッチャー&呼吸器 でアメリカに行ったレポート"手鏡に写ったアメリカ"の記事の中に、ベンチレータのアラームシステム 、ロープレッシャーアラームというものが紹介されているのを見て。 急いでJ.V.U.Nの佐藤きみよさんにメールを送りパルスオキシメーターの情報を提供をしていただきました。
そして、今年 、四月に記事にあったロープレッシャーアラームとは違いますが、警報モニター付きパルスオキシメーターを購入しました。これを買ったお陰で安心して生活できるようになりました。そして皆さんにも、その事についてご報告したいと考えました。
(記事からの抜粋) RTとは
現在アメリカでは、退院後の在宅ケアは、ホームエージェンシーと呼ばれる民間の会社が受け持ち、行政や病院がその会社に委託して在宅ケアを行っている。
RTという呼吸器専門のセラピストが、医療現場にきちんと位置付けられているという事は、それだけ呼吸リハビリテーションが確立されているという事です。そして何よりもベンチレーター使用当事者に対して、呼吸ケアが行き届いているという事だと思います。
現在のRTの役割は病院内では、呼吸、吸引に関する事を全般に受け持ちます。例えば、ICUでのベンチレーターの管理や、一般の病棟でのガス分析、酸素ボンベやベンチレーターのセットアップなどをします。又タッピング(気管や肺に溜ったタンを吸引しやすくするために手やバイブレーターで揺らして刺激を与える事)や吸引もしますし、呼吸リハビリテーシヨンも行います。
在宅生活ではそれらに加えて、主にベンチレーターの調子が悪いとか、故障の際のバックアップなど全般にわたって呼吸にかかわるコンサルタントのような役割をになっています。
Q: ベンチレーター使用者の呼吸回数や換気量の
設定は、RTの役割ではないのでしょうか?
A: 現在のところ法的には決定はドクターがする事に
なっています。
しかし、実質的にはほとんどRTがやっていると言っていいでしょう。RTがクライアントの呼吸状態を見て、例えば、ガス分析では正常値だけれども、非常に肩を使って呼吸している場合には、ベンチレーターを使用することをクライアントにもドクターにも提案します。
そして、その人にとって最適な数値をドクターに提案し、ドクターが書類に記入するというやり方が一般的です。 ドクター、一人が全てのデーターに目を通し、すべての分野について実質的な決定をする事は、現実的には不可能です。ですから、他のPTやOTと同じように、ドクターとRTの信頼関係の中で、このような仕事をしています。 優秀なドクターは自分の専門分野を良く心得ていて、呼吸についての判断はRTに信頼を持って任せてくれています。
Q: 在宅のベンチレーター使用者へは
どんなサービスをしていますか。
A:24時間体制で、ベンチレーターの故障、トラブルに備えています。そして連絡があれば、1時間いないにはバックアップのベンチレーターとともに外出先や自宅に訪問できるようなシステムになっています。そして呼吸やベンチレーター全般に関する相談を行っています。
RCUとは
日本の病院ではベンチレーター使用者はほとんど放置状態でで、「吸引ケア」「呼吸ケア」 「呼吸リハビリテーション」などという言葉はまったく認知されていません。本当に数少ない良心的な専門家がその必要性を訴えているだけです。
呼吸回数、換気量の設定にあたっても、当事者の意見はさほど尊重されていないという現状です。是非 ベンチレーター使用者をめぐるアメリカの病院のシステムやスタッフの考え方を聞いてみたかったのです。
ベンチレーター使用者の院内事故には、さまざまなケースがあります。ベンチレーターの蛇腹管が外れたままでアラームがなっても誰も駆けつけない(貧しい看護体制で駆けつけられない)まま、死亡あるいは脳死にいたるケース。日常的にタッピングがなされておらず、タンが突然気管を閉塞させてベンチレーターからの空気が肺に入らなくなり死亡するケース。ベンチレーターの専門知識が無いスタッフが回路の連結ミスをし死亡させてしまうケース、などなど・・・。
ベンチレーター使用者の院内事故に関する調査もなされていないので、正確なデーターはありませんが、私たちが聞いただけでも、以上のような院内事故が多発しているのです。
S さんがアメリカのRCUを見学しての感想
この病院のRCUは、95年の8月にできました。このフロアには全体で15人の病棟ですが、そのうち8部屋がRCUになっています。このフロアには、MSW(メディカルソーシャルワーカー)RT,PT,ST(スピーチセラピスト)、OTがいます。RTは24時間体制で配置しています。RCUは全て個室ですので、家族は好きなだけそばにいる事ができます。この病院では、ベンチレーター使用者、あるいは吸引・呼吸ケアや呼吸リハビリテーションが必要な人は全てこのRCUに入ります。そこで例えばRTとともにどんな気管カニューレがフィットするかどうかや、STとともにどんなスピーチカニューレがあうかを試したりするのです。
この病院ではベンチレーター使用者はICUかRCUにしか入りません。一般の病室とははっきり区別して手厚いケアを行っています。それだけ「呼吸」に対するケアは大切なのです。ICUに入るのは40日ぐらいです。又RCUに入るのは平均して2週間ぐらいで、ほとんどの人が1から2週間で在宅生活へ移行します。
ベンチレーターをつける際の当事者へのカウンセリングも必要だと思っているのですが今のところ行っていません。
Q: 在宅生活に移行する際の病院の
サポート体制について教えて下さい。
A:この病院ではHMV評価シートを作成して、在宅生活が可能であるというチェック項目を決め、それにそって準備を進めていきます。その中で社会資源の活用や、ホームケアエージェンシーとの連絡調整、家族が同居する場合は、家族に吸引などの医療的ケアを習得してもらっています。
Q: RCUでは吸引のためのケアは
どのような事をされていますか。
A:1日に3から4回、その他必要な時にタッピングをし、吸引をします。これはRTの仕事です。ただ、ALSやせきがうまくできない人には、普通の吸引ではなくカフマシーンを使っています。
Q: 日本にはRCUがほとんどありません。吸引のためのケアがなされていなかったりベンチレーターのアラームに対する備えが十分でなかったりなどの理由で院内事故が多数発生しています。この病院ではベンチレーター使用者の院内事故は起きたりしていませんか。
A: この病院では、そのような院内事故は起きていません。ベンチレーターのアラームシステムについてお話しましょう。RCUでは、心拍モニターの異常はもちろんの事、血液中の酸素濃度の低下、ベンチレーターの気道内圧の低下によっても、アラームが鳴るようなシステムになっています。
ベンチレーターの気道内圧の低下は、ベネット社のロープレシャーアラームという機械を使って感知します。それぞれのアラームはナースステーションへ連絡されるだけではなく、このフロア中に響き渡るほど大きな音のアラームです。そのアラームが鳴ると、ナースやRTが駆けつけていくのです。タッピングなどの吸引ケアも十分に行っているので、タンによる突発的な気道閉塞の防ぐ事ができます。日本でも、ベンチレーター使用者の特別なニーズに対応できる集中的なケアを行うRCUが必要ですね。
Q: ベンチレーターを使用する事と、治療について、さらには在宅への準備を進めていく上で、当事者の意見をどのように反映させますか?又、さまざまな当事者についての会議には当事者が参加できますか?日本ではほとんどの場合、当事者抜きで会議を開き、当事者の事を専門家が勝手に決めてしまう傾向がありますが・・・。
A: 当事者の治療に関する事、様態に関する事全てについて情報は伝えられますし、会議には当事者が参加できます。ただ他の当事者について話し合う時には、参加できません。プライバシーの問題があるからです。当事者抜きに、当事者の生活のことを決定する事はできません。
"手鏡に写ったアメリカ"の記事より
当事者の意見
私(上田政博は、27歳の呼吸器をつけた高位頚損C−1の者です。)は在宅者ですが、そういった事故が家庭内でも起こっている事を知っていました。これを読み、アラームの購入について真剣に考えるようになりました。今回 、私の意見としてこのレポートをまとめました。
1 購入前
2 購入後 使用して
3 問題点
4 最後に在宅頚損者にとっての情報について
(説明)
パルスオキシメーター
血液中の酸素濃度や、脈拍を測定する機械。私の異常を知らせるためアラームがなる。その他 離脱訓練のためや、脈拍の数値を見て呼吸回数を変えたり、たんの溜まり具合を見て肺理学を行う目安にしている。病院で使うようなものから、携帯用のものまである。かなり高価。
1(購入前)
呼吸器をつけている人、日本では、ほとんど声を出せるように訓練されないので声が出せないため、助けが呼べない。実際に、顎センサー(呼び出しブザー)が押せるにしても、深く眠ってしまってる状態や、意識のない場合、痙攣などで顎センサーが、ずれたりした時などは呼吸器の警報だけでは本人も、家族もき気が付かず、あわやという事がありました。
呼吸器を付けている人の死亡原因のほとんどが、呼吸器が外れていたり、呼吸器の故障、ホース内に結露した水の逆流と思います。それを防ぐ手段として、呼吸器をつける者にとって絶対欠かせないものです。
在宅で使用する場合、病院で使うようなものとは、必要性がまったく違います。病院では主に、生命維持のみですが在宅利用者にとっての必要性と希望は、まず当事者、看護にあたるものの立場で考えられたもので、出来るだけ不必要な機能を取り払い、安心できる機能性に、安価、使いやすいものが欲しいと思います。
具体的な私の希望
1 ACアダプターと、電池の両方使えること。
2 警報値の上下の設定が可能であること。
(看護する側にとって、アラームが絶えず鳴りまくるような物はたまらない。警報を離れた場所でも聞こえるように、もちろん本人にも聞こえる。警報の音、出来るだけ大きなおとが出せるように調整できる方がいい。)
3 指にセンサーをつけて測定しますが、センサーの構造、長時間、指にしていても、うっ血(測定できなくなる)しないもので、つぶれにくいデザインであること。(病院で使うようような、ディスポの、センサーは使い捨てのため高価になる。すべて自費負担になる。)
(実体験談)
そして、私の希望を聞き、 実際に業者や、J.V.U.Nとの話や、カタログを送ってくれる手配や、訪問日の日程の調整などしてくれたのは、OT勉強中で専門学生のFさんという方でした。人工呼吸器を付けた子の親の会「バクバクの会」 代表のHちゃんのご両親が、我が家の窮状を見兼ねて、紹介して下さった方でした。Fさん自身もお子さんが生まれた時から呼吸器を装着しており、「バクバクの会」 に入っておられました。残念ながらお子さんは、亡くなわれてしまったのですが、それからOTの勉強を始められ大変熱心に勉強されています。大変お忙しい中でも助けて下さった事で、いい製品に恵まれすばやく購入する事ができたのです。
(上田政博の手紙)
今日 、フクダ電子がいうには、 NOVAMETRIXパルスオキシメーター511で、在宅で使っている人の殆どはこれを買っているという事でした。定価 237,000円。難点は、警報が自動設定で平均値の−5でアラームが鳴る物で、平均が97%ならば、92%でなる事になる。これでは私には鳴りすぎて、看護するものの身が持たない。できれば90%ぐらいにしないと。だめだと思いました。
指のセンサーはなかなか柔らかい素材で、多分問題ないと思いますが、いちど24時間付けさせてもらえるといいのですが。音も少しちいさい気がしました。
今日は持ってきてないもう一つを、来週持ってきてもらうつもりです。442,000円 のSIEMENS MICRO O2(スウェーデン製)のものです。かなり高価な点が問題です。何か手はないでしょうか? カナダのAさんに買って送ってもらう方が安いのであれば・・・。一度相談してみようかなと思います。業者に、市で購入してもらえないか連絡を取るように言われていました。多分、他市では福祉課で何台かかって、貸し出すような手段をとっているんだろうと思います。それと医師会で貸し出しがあるはずだという事でしたが・・・。
合った物が手に入る希望は薄いですが、利用者の希望を、理解してもらうのはなかなかむつかしいです。こちらの要求する事に対して、ツーといえばカーの人が本当に欲しいのです。そのためには、カナダのように在宅者のニーズにも対応というところまでいかなくても、日本でも、呼吸器使用者の特別なニーズに対応できる、RTが必要です。すべてを満たす物は多分ないので?、どうしょうかと思っています。個人ではなかなか情報 収集が難しい。これらの条件をほとんど満たすのは、外国の物になる。しかし、それでもどこか妥協になると思います。
これらの必要性、評価も本当に出来るのは、障害を持つ当事者であるわけですが、現実は障害が重度であればあるほど、その可能性は低く、現実の環境は厳しく、情報交換もままならない状況にも陥ってます。
2 (購入後)
結局、2業者から試用もして、購入したのは、アメリカの NOVAMETRIX製、パルスオキシメーター515B を、日本の医療機器メーカー フクダ電子から購入。最初の希望はほぼかないましたが、ただ (希望の3)の指を挟む指センサーに少し問題がある点と、アラームの設定操作の点に問題はありましたが、それ以外は大変すばらしい物でした。購入してみて、やはりデーターよりも、警報装置としてや、呼吸器離脱訓練や、リハビリに使ったり、体調の目安として利用しています。
買う前には気付かなかった事
(機能)乳児&その他の利用者にとってもどうかという事。バッテリー…外出時などにも持って出られるかどうか。連続8時間使用可能(フル充電)視覚の警報情報のバーライト…警報アラームと、赤く点滅するバーで聴覚障害者にも使える。
SPO2警報値のオート設定(操作を十分に出来なくても取り合えず安全)パルス同期音の設定…脈拍にあわせて音を出す。(ON,OFF可能)指センサー(データの信頼性)…光をできるだけ遮断できる構造であること。
(細かく言いますと)警報について
警報音は、 音量調整が可能であり、又、2分間警報音停止の設定が可能です。視覚の警報情報の警報バーライトは、警報音停止に関わらず、設定された警報値を超えた時に警報(点滅)を発します。
警報値について
警報値のマニュアル設定が可能。
SPO2:上限100%、下限85%;
脈拍数:上限150下限40bpm
SPO2警報値のオート設定について
患者の測定データに対して上限+5%、下限−5%に設定されます。上限警報値は最大100%、下限警報値は最小50%までの範囲で設定されます。
警報音量の設定について
警報音の音量レベルは、1から7まで変化します。電源を切ると必ずリセットされて「3」等と表示されますので変更する場合は最初に設定しなければなりません。
指センサを使用
指センサは時々、取り付け位置を移動させて下さい。少なくとも、4時間に1度は患者の血液の循環を確認し、センサをほかの場所に移動して下さい。私の睡眠時間と、看護者の睡眠を考えれば、最低6から7時間は付けられないといけません。少し指先が黒くなる問題が残りました。
その他のセンサ Yセンサ イヤークリップがある。しかし、ディスポのテープが大変高価 で、自己負担になる。新生児には必要みんな工夫して使われている。痙性の強い人、皮膚の圧迫に弱い赤ちゃんなどに対応。
3 問題として残る事
音の問題について。
アラームの設定の数値で正確には鳴らないので、急いで業者に連絡をとり、担当の方からお話を伺ったのですが、最初、確かめもせず、数値は+-2の誤差があるものだといわれ「故障ではありません」というので、とにかくモニターの状況は、例えば92の設定の場合で、実際に鳴りだすのは88であったり、それにばらつき(90で鳴ったりと)のある測定値をだしていました。
今の医療機器のレベルでは、病院で使うので、余り音がなり過ぎると良くないと言われました。ある程度機械の性能として状況を判断し、緊急の状態であるとする迄に時間をとっているということでした。それで測定値に多少の変化があるとの説明でした。
しかし、いったん緊急状態になれば設定値の+−2の範囲内でアラームが鳴ます。これを利用して設定すれば大変役に立つように思いました…取扱説明書には書いてありませんがこの方法は、命にかかわる使用方法だと思います。
日常的に使う物なのでいくら警報アラームとはいえ余りどぎつい音の物はかえってストレスになります。何種類か試してみてそんなことも感じました。
又、我が家では顎センサーによる呼び出しブザーは2階の部屋でもブザーが鳴るようにしていますが、このモニターのアラーム音も赤ちゃんの側を離れている時、部屋のモニターが出来る機械(ママコール)があるので、それなど合わせて使えば離れている時にも安心ですが、電化製品だらけになるのを否めません。
モニターにより、センサーにより測定値が若干違ってくる事については。それによって離脱訓練などの場合に戸惑います。
業者とのアクセスについて
対応など手助けが有る無しは、重度頚損者になれば
なるほど大きいと思います。
値段の問題について。
個人で購入するには高価であり、行政によっても対応に違いがあります。「業者が、市で購入してもらえないか連絡を取るように言われていました。多分、他市では福祉課で何台かかって、貸し出すような手段をとっているんだろうと思います。それと医師会で貸し出しがあるはずだという事でしたが・・・。」結局、何の対応もありませんでした。
医療用具は医療機関を通さなければいけない。購入してもらう病院によって値段が変わるなどの点もあります。
パルスオキシメーターの補助について
パルスオキシメーターに何か補助が出るのかどうか?調べないといけないです。
4 最後に在宅けい損者にとっての情報について、どのようにして個人がすばやく欲しい情報をキャッチできるかについて 。
@ RT 、RCUの必要性…多数の臨床を通した専門的助言と万一の際の処置も受けられるという点で大変重要です。アメリカ、カナダなどでは整備されておりますが、日本では整備されておりません。
A インターネットなどによる仲間の情報の整理立がひつようと思います。
B 各団体の連携が必要
C 学生ボランティアなどの助けが必要
まとめ
根本的に現状では、本人、もしくは家族が積極的に 自己防衛に動かない限りこういった命に関わるような機械の購入も出来ない点があります。私事ですが、呼吸器を付けた在宅者の生活は本当に悲惨なものがあります。アメリカ、カナダのような医療・福祉が進んだ国から学び、皆さんにも理解していただけるのが私の望みです。
一番弱い立場の人間が人間らしく生きられれば,どんな人も生きられるのではないかと思うからです。どうしたら今の状況を少しでもよくする事が出来るのかそれについて考え、行動していきたいです。
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